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グリコ乳業 商品開発研究所
研究レポート

研究レポート Defecation effect of yoghurt varies with the timing of intake. ヨーグルトの効果的な食べ方に関する研究ー摂取時間帯の比較ー

ヨーグルトの効果的な食べ方?

食べる時間を指定した試験を実施

食べた時間帯と排便のタイミングの関係

ヨーグルトの効果的な食べ方?

 整腸作用を期待してヨーグルトを食べる方も多いのではないでしょうか?しかし、誰かがとても効果的だと教えてくれたヨーグルトを食べたのに、自分には効かないなあと不思議に思ったことはないでしょうか?我々もヨーグルトの効果を研究している中で、全体を見るととてもよく効いているけれど、中には効かなかった人もいることを、なぜだろうと考えることがあります。
 また、医師や看護師、栄養士から、「朝に食べるのが良いの?夜に食べるのが良いの?」、「本当に毎日食べなきゃいけないの?」、「食前、食後のどちらに食べるのが良いの?」というような質問を受けることがあります。実は、このような質問に答えられる研究結果を我々は持っていませんでした。また、過去の研究資料などを調べてもこの問いに対する答えを見つけることはできませんでした。
 そこで、我々は疑問に答えるため、つまり、どのような食べ方をしたらヨーグルトは一番効果的なのかを明らかにするため、研究を開始することにしました。
 いろいろな疑問点の中から、まず、「ヨーグルトはいつ食べるのがもっとも効果的か?」この問いに答えるために、次のような試験を行いました。

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食べる時間を指定した試験を実施

 便秘傾向を自覚する女子大学生ボランティア56名を3群に分け(図1)、1番目の群には朝食後30分以内にヨーグルトを食べてもらいました。2番目の群には昼食後30分以内に、3番目の群には夕食後30分以内に食べてもらいました。そして、ヨーグルトを食べていないときの排便回数と食べている間の排便回数を比較しました。このとき食べてもらったヨーグルトは、サーモフィラス菌とクレモリス菌で発酵した粘性のあるヨーグルト、1個90gです。食前と食後のどちらが良いのかは分かっていませんでしたが、食べ方を統一するために、便宜上、食後に限定しました。

試験スケジュール
図1 試験スケジュール

 まず、いつ食べたのかに関係ない、ボランティア全体の結果を図2に示します。縦軸は1週間あたりの排便回数、横軸は試験期間です。もともと1週間当たり4.9回だった平均排便回数がヨーグルトを食べると5.5回に増加しました。3〜4週ではさらに5.9回に増加しました。ヨーグルトを食べることで明らかに便秘が改善しています。

試験結果(全体(56名)の平均排便回数)
図2 全体(56名)の平均排便回数

 次に、各群を分けて集計しました。図3に示します。分けてみると食べるタイミングによって効果の違いが歴然です。朝食後に食べた群の排便回数は、食べる前は4.9回でしたが、それが6.2回に増加し、3〜4週も排便回数の多い状態が維持されていました。一方で、昼食後に食べた群では、始めに4.7回だった排便回数は1〜2週ではほとんど変化無く、3〜4週でも5.3回に増えただけでした。夕食後群では、1〜2週、3〜4週と増加していますが、朝食後群と比べると効果の現れ方が遅いようでした。この結果から、朝食後、昼食後、夕食後の効果を比較すると、ヨーグルトは朝食後に食べるのが効果的ということが明らかになりました。

試験結果(食べた時間帯ごとの平均排便回数)
図3 食べた時間帯ごとの平均排便回数

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食べた時間帯と排便のタイミングの関係

 では、なぜこのようなことが起こったのでしょうか?それを知るためにアンケート調査の結果をもう少し詳しく分析しました。図4は、各群のボランティアが、どの時間帯に排便をしていたのかをまとめたグラフです。左から順に朝食後群、昼食後群、夕食後群を示しています。例えば、朝食後群はヨーグルトを食べる前の2週間に、朝109回、昼40回、夜37回、合計186回の排便をしています。これがヨーグルトを食べている3〜4週では、朝162回、昼45回、夜36回、合計233回に増えています。興味深いのは、昼と夜の排便回数はそれほど変化していないにも関わらず、朝の排便回数が約1.5倍に増加していることです。一方、夕食後群を見てみると、ヨーグルトを食べても朝の排便回数はほとんど変化せず、夜の排便回数が約1.8倍に増加していました。昼食後群は、少し違って昼ではなく夜の排便回数が約1.6倍に増加していました。

図4 各群の時間帯別合計排便回数の変化
図4 各群の時間帯別合計排便回数の変化

 この結果は何を意味するのでしょうか?我々は、3つの注目すべきポイントが有ると考えています。第一に、ヨーグルトの影響の無い普通の状態では、約半分の排便が朝にされていること。これはヨーグルトを食べる前のデータを見ると分かります。第二に、排便回数が増えた時間帯は、ヨーグルトを食べた時間帯と一致していること。朝食後群では朝の排便回数が、夕食後群では夜の排便回数が、それぞれ増えています。昼食後群では、昼ではなく夜に増えていますが、これは、昼間はトイレに行きにくいという事情があるからだと考えられます。第三に、ヨーグルトが排便を促す効果は、どの時間帯でも大体同じということです。つまり、朝に食べても、夜に食べても、ヨーグルトはもともとの排便回数を大よそ1.5倍から1.8倍と同じ程度に増加させています。そして、この3点からさらに考えられることは、ヨーグルトの排便を促す効果はどの時間帯でも大体同じであるが、もともと排便習慣のある時間帯に食べた方が効果的だということです。そしてそれは朝、ということです。
 ヨーグルトが排便を促す仕組みは、いろいろ考えられます。例えば、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が直接、腸を刺激して、蠕動運動(腸の内容物を先へと送る腸の動き)を促すという仕組み。他には、ヨーグルトがお腹の中のビフィズス菌を増やし、間接的に蠕動運動を促進するという仕組み。または、ヨーグルトを食べたという感覚が、無意識のうちに蠕動運動を促すという仕組み。ヨーグルトの効果は、このようないろいろな仕組みが合わさって現れていると考えられます。今回は、クレモリス菌とサーモフィラス菌で作られたヨーグルトを用いました。これらの菌は酸(胃の消化液)にあまり強くないので、菌が直接、腸を刺激するというのは考え難いです。一方で、例えば生きて腸に届くという乳酸菌が入ったヨーグルトで同じ試験をした場合には、また、ビフィズス菌入りのヨーグルトで試験した場合には、さらに複雑な仕組みが影響すると予想できます。そうすると、今回とは異なった結果が出るかもしれません。
 最後は少し難しくなりましたが、我々の研究からは、「お腹の調子を整えたいと思ってヨーグルトを食べるときは、朝食後に食べるのがもっとも効果的」と結論付けられます。
 今後は、本当に毎日食べなければいけないのか?食前、食後のどちらに食べるのが良いのか?などを検討していきたいと思います。

この試験の内容は、第2008年度日本農芸化学会大会(於:名城大学)で発表されています。
「ヨーグルトの効果的な食べ方に関する研究 ー摂取時間帯の比較ー」
楠木 伊津美、傳法 公麿、池田 隆幸(藤女子大・食物栄養)
齋藤 康雄(グリコ乳業・中央研)

まとめ
 ヨーグルトの効果的な食べ方を明らかにするため、便秘傾向を自覚する女子大学生ボランティアに時間を指定してヨーグルトを食べてもらいました。その結果、お腹の調子を整えようと考えてヨーグルトを食べる場合は、朝食後に食べるのが最も効果的であることが分かりました。

 慌ただしい朝には、もともと甘みのついたヨーグルトや、フルーツが入ったヨーグルトが便利です。朝食にヨーグルトを取り入れて、健やかにお過ごしください。

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